二瓶ちゃん

それいけ!アンパンマン ふわふわフワリ―と雲の国の二瓶ちゃんのレビュー・感想・評価

3.8
知り合いのバンドマンから勧められたので鑑賞。

最近一切観てなかった。
はじめての映画版アンパンマン。
「あのこは貴族」の東京テアトル配給。
ドキンちゃんファン必見映画。

ホラーマンってばいきんまん派閥なんだ。なんかいいキャラしてるよなぁ。
子供向けだから仕方ないけど飽きさせないような構造をしていた。冒頭のステージにおけるミュージカルテイストとかはその代表格。
あと媚びがありながらも、子供のメタファーを果たしているフラリーがほんとかわいい。
対照的に親側なのはドキンちゃん。今回かなり活躍してました。

雲の国での労働の光景は共産主義国家が子供向けの洗脳に使えそうなぐらい幸福度高かった。

我らがアンパンマンがラスボスを前に雲になっちゃう展開はビビった。

あと「たましいの歌」とかっていう、子供にはきっと早すぎるだろう歌が変に説得力あった。

多分クレしんのねねちゃんとメロンパンナは声優同じだな。

非常に細かいことを言うと、ばいきんまんハウスのソファーにそっと横たわるしょくぱんマンぬいぐるみの可愛さよ。

総括するなら、子どもながらにスケール感の大きな話だった。かつ夢を壊さないように童話的テイストも感じた。根元から腐ったタイプの悪ではなく、漠然としたエゴイズムを展開することで悪役たりえるばいきんまんはもはやかわいい。というわけで登場人物は大体善人で構成されているし、落下のピンチには打率100%のアンパンマンが駆けつけてくれるため、安心して子供と見れる作品。

懐かしい歌の数々に心が躍った。
特に「アンパンマンのマーチ」、「勇気りんりん」

知り合いから勧められたので、てっきり映画的に意味のある作品かと思えば、そうではなく、しっかり子ども向けであり、この先「水戸黄門」まで続くだろう勧善懲悪の入門としても、これからの映画産業を支えてくれる鑑賞者育成の第一歩としても親子で観るに適切な作品だろう。

どの世代でも普遍的に感動できるかと言ったら疑問に思うが、ミュージカル部分などストーリーに蛇足な部分あれど、純粋に良い話だったのでこの評価。

保護者目線だとドキンちゃんに感情移入して泣いちゃう親とか居るのかもしれない。
「ニュー・シネマ・パラダイス」のように、子供とはいつか親に背中を向けて去りゆくもの。雲の国という本来の環境に戻ったフワリーだが、ドキンちゃんに甘えず笑ってさよならを言えるのはこれもまた数日間の成長。
ドキンちゃんの中の母性にあるボンヤリとした喪失感に希望を与える最後の演出は流石と言うべき。