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さんかく窓の外側は夜のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

さんかく窓の外側は夜(2021年製作の映画)
3.0
ヤマシタトモコさんの同名漫画の映画化。
↑は既読済。

霊が視える書店員の三角君(志尊純)が除霊師の冷川(岡田将生)に強引にスカウトされコンビを組んで事件を解決する心霊ミステリー。

元の掲載誌がBL誌、内容はバディ物……普通の関係より複雑さが伴い描かれるけれど、BL成分は香る程度。

漫画のエピソードを取捨選択して脚本にしたようで、今作は冷川の過去と貯金箱の関わり、ヒウラエリカの呪いのシステムの話がピックアップされていた。

オカルトホラー寄りだと物足りなく、猟奇殺人事件としてはミステリーのオチが『呪』の発動なので、どっちつかず。
でも映像から漂う雰囲気は悪くなく。

尻窄みではあるものの一応の事件の解決までは落としてある。
続編への目配せなのかちょこちょこと取りこぼした謎が何箇所か。

原作ファンで観る人は気がつくのは勿論、原作知らなくても「あれ?そういえばあの件は?」と気がつく人もいるんじゃないかなあ。
続編へのチラリズム、色気はすっぱりと切り落として欲しかったところ。

主役2人とエリカちゃん、刑事のキャスティングに文句は無いものの、他のキャストには文句があり過ぎる(俳優さんは悪くないですが)

原作未読の場合、除霊(三角の空間)で冷川に胸に手をあてられると息遣いが激しくなる理由はきっと伝わっていない。
冷川の一般常識や社会性の欠けた冷酷な一面が映画版では自己中心的ビジネスライクなタイプで少し喰い足りない気持ち。

ただ彼の生い立ちから更に話を膨らます必要もあるので、物語の濃度とのバランスはこのくらいで良いのかも。
実写化は難しいな……と思ったり。

話のテンポは悪くなく、映える絵もいくつか観れたので漫画の実写映画化作品では良いほうかなと思いました。