Haru

パピチャ 未来へのランウェイのHaruのレビュー・感想・評価

4.5
色んな意味で衝撃的な映画で、For Sama を見たときにも思ったけど、自分の心の中にずっと置いておかなきゃと思う映画だった。

フィクションだとしても、大袈裟に描いたとしても、こういう事実があったと、そして今も絶えず世界各国で続いていると思うと心が締め付けられる。

宗教とジェンダー差別は切っても切れない関係性で、なかなか価値観がアップデートされても社会が変わらない根底には宗教的な歴史があったりする。それは儒教や仏教、キリスト教もそうだ。今回はイスラム原理主義が台頭する中で生きる少女たちのお話。自分は無宗教なのでどうしても他人事になってしまうのだけれど、「宗教の自由」は「表現の自由」と同じぐらいとても重要なものだと再度実感させられた。他人に信仰を強制され、自由を奪われることは絶望以外の何者でもない。そこに政治がつながると尚更だ。絶望の先には死が待っているのだから。

日本でも暗黙の了解で、着なきゃ行けないものがTPOで決められ、雑誌には未だに男ウケが良い服!みたいなタイトルでまとめられたりしている。もちろん危機感が全然違うのは百も承知だが、やはり「自分の着たいものを着たい」とショーを企画する彼女たちの姿に心を打たれずにはいられなかった。

映像的な面だと、基本的に主人公たちのクローズアップで話が進むので彼女たちの表情が鮮明に頭に焼き付く。特に主役の瞳がとってもよかった。どんな逆境でも諦めまいとする強さ、揺らぎ、優しさ、全てが鮮明に写っている瞳はとっても澄んでいて綺麗で、心に深く焼き付いた。

私もあんな強い瞳を持った女性になりたいと、ふと思った帰り道。
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