マクガフィン

ミナリのマクガフィンのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
2.8
夢を求めて、様々なことから逃れついた片田舎での、夢と現実の夫婦間葛藤。仕事と家族の優先順位の隔たりから起きる家族理念意識のギャップ。時折挟む、雄ヒヨコの処分を煙突の煙で描写する背景にハッとさせられるが、終盤までの家族や夫婦間の問題や移民偏見は、おばあちゃんや子供がアクセントになり、飽きはこないが目新しさは感じない。逃れついた者達が集まった故の村落のエピソードも欲しい。

そうならば、終盤の劇的変化からの着地点を見出すことは予想範囲で、その終盤の出来事で、真っ先に農産物に向かう父親と、おばあちゃんに向かう母親で、夫婦間葛藤が決定的になると思いきや・・・。結局は、おばあちゃんがキーワード的なことや水のメタファーは理解できたが、所々に挟むオカルト的なメタファーはスッと入ってこない。

そんなこんなで、綺麗な映像と音楽もプロットとのこなれ感も足りなく感じる。A24の映画との相性は、〈宣伝を大仰にするほど作品自体は凡庸〉な法則に今作も当て嵌まる。