Haru

ミナリのHaruのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
3.8
質のいい韓国映画ばかり見ていたので、大分期待が高かったこともあり、4には届かず…という感じ。

確かにアメリカのアジア系一世移民+田舎で農業を営む移民にフォーカスを当てた物語はなかなかなかったという点で評価される理由はなんとなく理解できた。余白を残し、淡々と日常を描いている様子も最近の映画に多いし、そこまではなんとかわかる。

それにしても問題は中身。
よくわからない点が多い。韓国から移住した経緯もそう、おばあちゃんなんでそんな長く居座れるの?っていう感じだし何ビザ???っていう余計な情報まで考えてしまった…リアルにさせるなら時代背景ももう少しヒントが欲しかった。

男は役に立たなきゃダメだ、女は子供を産む役割があるんだから、みたいなのも80年代だから、まぁ確かにそういう価値観が蔓延していただろう、と自分をなんとか理解させたが、結局「男のロマン」的な成功を何としてでも子供に見せたい、というお父さんの願望を家族全員で叶える方向に向かってしまって、モヤモヤして終わった。母や子供たちの人生はどうなる?

老いとの共存、病との共存、おばあちゃんが出てくることでそういうものをリアルに見せたのは良いポイントだったが、むしろ家父長制を全面的に認める形で終わり、批判にも皮肉にもなっていなかったのでは、というのが正直な気持ち。監督の願望が少し入っているのかななんて思ったりもする。焦点が当たるのもやはり息子のデイビッドのみで、姉のアンはいつも周りを気遣いしているだけ。

A24の映画はいい作品ばかりだが、アジア系移民のお話であれば断然フェアウェルの方が見る価値あり。
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