KnightsofOdessa

MINAMATAーミナマターのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)
2.5
[撮りたい写真=思い描く流れに集中しろ] 50点

アル中で破滅寸前の有名写真家ユージン・スミスと現在のジョニー・デップが重なってくるのが悲壮感を高めている。しかも上司が元デイヴィ・ジョーンズという奇跡。そんなスミスは過去で時間の止まった部屋にやってきた通訳の持ち込みという形で水俣にたどり着き、水俣病に苦しめられる人々に出会い変わっていく。チッソへの抗議活動とアイリーンとの恋愛を同時並行で描いているが、基本的にはスミス本人の問題として描かれているので、チッソに抗議する地元の人々や患者たちは彼にとって"被写体"として距離が開いているようにも見えてしまうのが惜しいところ。加えて終盤の暴行事件→ネガ復活→「入浴する智子と母」撮影→ライフ掲載→勝訴という流れがあまりにも雑すぎて興醒めしてしまったのは否めない。

前半部分は一人の男の葛藤として、まあまあ上手く描けていたんじゃないか。このまま行けば傑作ではと思った瞬間が何度かあった気がする。レヴィタスが写真家ということもあって、モノクロ撮影に拘るスミスのために写真風景では色を抜くという演出も上手く機能していた。真田広之と浅野忠信がハリウッド映画で共演してるの、今年だけでも『モータル・コンバット』以来二本目なんだが、ここに加瀬亮も加わるのでハリウッド御用達日本人全員集合みたいになってて人材不足を感じたが、他の国も似たような感じだな。
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