くう

MINAMATAーミナマターのくうのレビュー・感想・評価

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)
3.3
水俣病は義務教育を通った日本人ならば誰でも聞いたことだけはあるはずの公害病である。

「病」というよりも人災による犠牲者。被害者家族の怒りの大きさは映画を見る前から想像できる。しかし主人公のモデルの方の人生については存じ上げなかった。

なので、「水俣病についてはともかく、映画の中で主人公に与えられている苦難についてこそ訴えた方がいいのでは!??」と思ってしまった。

この時代だって日本は法治国家のはずだぞ、おい、と思いながら見ていた。後で案外史実だと知り2度ビックリ。

(というか、あれって本当に社員の仕業だったの?雇った輩がやらかしたのかと思っていた。史実と照らし合わせると何度もビックリするわ…)

ヒーローっぽさ全開で人災と闘うわけではなく、カメラと目線で史実を追って行くジョニーの佇まいが、いい感じに老けていて良い。外見キャラなり切り時代も終わったなと思ったけれど、ユージン・スミスの写真を見たらソックリだった…さすがとしか言えない。

「入浴する智子と母」の撮影シーンは実物の作品も映像に出て来て気高さに感動する。これを見たら世界の心は間違いなく動く。そう思える納得の1枚。撮影風景まで美しい。

他のユーザーの感想・評価

【侵食】

ふぅ・・・・
ようやく「dm的映画祭in銀週」のラストを飾りました3本目のレビューです。

先に観た「空白」の余韻に引っ張られて、こちらのレビューもなかなか書けずにおりましたが、いざ時間を置いて改めて作品に向き合ってみると、観ていたときには感じなかった不思議な感情も芽生えてきているという感覚。

たまにあるんですけどね、そういうの。
観ているときは「映像の迫力」や「エモいシーン」に圧倒され(スゲ~)みたいな感想しか浮かばなくて、その勢いのままレビュー書いてしまう。
で、暫くしてから改めて作品を咀嚼してみると「・・・・実はそうでもなかったのかな」と熱が冷めてみたり、逆にその時には気がつかなかった物語の「深淵」や「意図」に気付いて「!!」って劇場鑑賞時の衝撃を遥かに飛び越えたビッグウェーブに襲われることもある。

そういった意味では、本作も劇場で観ていた時とは若干色や味が変わってきている作品でもある。
それは「良くも悪くも」。

とにかく一つだけ確かなこと。
ジョニデはジョニデだ。

いや、変な意味と違うよ。
やっぱりジョニデはジョニデだったっていうこと。
・・・ん?伝わってない?

まいっか(笑)続きはフィルターをかけて、ちょっと真面目に。
史実を映した作品だけど、エンターテインメントととしてよくまとまってると感じました!

このレビューはネタバレを含みます

まだ地続きの問題なんだなぁとハッとしました

これからこの問題にどう対応していくか注視していきたいですね

このレビューはネタバレを含みます

「戦争嫌いの日本人が起こす、最後の戦争」

ジーンは酒呑みで借金あり家賃滞納とだらしないように見えるが、写真に関してはしっかりとした志を持っている人物。写真は撮る人の魂を奪う。だから本気で撮らなきゃいけない。

「2013年に首相が水銀被害は克服したと主張。それは今もなお苦しむ人々を否定する発言」

教科書には1〜2行しか書いていないけど、そこにはたくさんの人たちの苦しみと闘いがある。『ローグワン』観終わった後みたいな気分。

■鑑賞記録
▷2021.09.27
[神戸国際松竹]

▷2022.02.23
[パルシネマしんこうえん]
raga

ragaの感想・評価

3.5
写真家ユージン・スミスが水俣病の抗議運動に足を踏み入れる。彼の原動力は再起をかけたプロ魂なのか、現地の人々が語る中で見出していく父親としてのワンスアゲインなのか、それとも分断を見遣る権力への抵抗なのか、イマイチ釈然としないうえ、各々の人物造形の甘さがクライマックスの盛り上がりに欠けている。海を渡ってユージンに懇願したアイリーンの思いが核となるにも関わらず、安易にロマンスへと傾いてしまうのもいただけない。もっと深遠なるテーマに迫ることが出来る、加瀬亮と浅野忠信演じる登場人物が良かったので焦点を当てるべき挿話はあったはずだけに惜しい。
坂本龍一の楽曲、途中「ラストエンペラー」と同じメロディが奏でられるのはファンサービスか?才能の枯渇か?物議をかもす。

このレビューはネタバレを含みます

授業で習った公害である水俣病。
具体的にはどのような病気でどう解決したのかも知りませんでしたが、この映画で知りました。
日本だけでなく、世界からの関心により解決していたとは…
ジョニーデップの落ちぶれている演技がすばらしく、それが立ち上がる姿もよかったです。
若い子に、道徳の授業で見てほしい作品でした。
観た感想、感情を言葉で表すには語彙力が足りなすぎて不可能。
おもしろいって言葉をもってくるのはちがうけど、色んな意味でをつけたすしかない、、
元々水俣病の事を詳しく知っているわけでもなく、授業で習った程度で、すごい浅い記憶と、昔のことだと思い切ってた自分の心をぐちゃぐちゃにされた。
でもぐちゃぐちゃになってよかったと思うし、とりあえずちゃんと自分で調べるきっかけになった。

ジョニーデップの主張がいい意味でなくて、すごくいい映画だなと。

ジョニーデップ主演がきっかけで観る人が増えればいいなと思うし、先生から聞いたり教科書から読むよりもこーゆーのを観た方が関心を得られていいなと思ったし、自分が学生だったときに知りたかったなと思う。

あと美波さんめっちゃ美人。
Anhthu

Anhthuの感想・評価

4.7
教科書でしか目にしたことがなかった水俣病だけど、この映画で当時何があったのか水俣市の住民はどれだけ闘っていたのか知ることができた。
公害問題は今も全世界で続いてることだし、これ以上公害が増えないようにするために、この映画を全ての人に見て欲しい。
miki

mikiの感想・評価

3.8
こんな人がいたのを知りませんでした。彼についても水俣病についてももっと知りたいと思いました。こういうことはちゃんと伝えていくべき大切なことだとも改めて思いました。
Haruyuki

Haruyukiの感想・評価

4.0
 ストーリーはそれほど明確でもなく、実在の主人公もやや類型的ともいえる。(確かな腕前を過去に評価されている人物が、堕落してアル中になり、すっかり信用を失っている。何かをきっかけに目覚めて、再び価値のある、スペシャルなパフォーマンスを示す、という形)
 しかるになぜか、観て良かったと感じ入る。ジョニー・デップがかっこいい。妻となるMinamiさんも素敵。風景の美しさ、懐かしさ。いろいろあるのだろうけど、この映画の正体は、写真家の残した一枚の写真の解釈、ということではなかろうか。その写真をどう見るのか、という・・・・
 写真をメディアでひろめるのは、社会的、あるいはポリティカルなメッセージを伝えるため、なのかもしれない。けれど、観る者の心を動かすのは、結局そうした乾いた文脈ではないのだ。
 クライマックスの一枚。そうか、この写真はこういう風に観るものなのか! つまり、映画の作り手がこの写真を解釈するとこうなるということ。そういう映画だった、と思う。
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それにし
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