Laura

MINAMATAーミナマターのLauraのレビュー・感想・評価

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)
3.5
流れ者のヒーローがマイノリティに手を差し伸べ共同体全体に変革をもたらす、その構造自体は古典的なハリウッド映画のそれでありもちろん美化や綺麗事も含まれているのだけど、「水俣病の娘を入浴させる母を捉えたあの有名な写真がどのように生まれたのか」という部分にストーリーの重点を持ってきたのは上手いと思った。あの写真は明らかに西洋美術のピエタの図像(聖母マリアが死んだキリストを哀悼する)を想起させるように撮られている。そういった意味で日本ではなく西洋文化圏の人に対してより強いアピールを持っているのは明白なわけで、実際にあの写真は多くの人の心を掴んだ。反面、狙いすぎと取る人もいたのだろうか? ともあれ映画では写真の構図を調整するために娘の手足の配置を変えるシーンもあり、とりわけあの写真の作為性を隠蔽したりはしていないように思う。
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