菩薩

俺のシテがやられるの菩薩のレビュー・感想・評価

俺のシテがやられる(1997年製作の映画)
3.5
マジでシテやられた…。

ってみんな本当は書きたいのに恥ずかしくて書けないのだろうから俺が代筆しておく、もはや失うものなど何も無い。ただあながち間違いでも無くて、この作品をヴィルジニー・ルドワイヤン目当てで観た人はおそらく全員そう思うはず、だってルドワイヤンは本編とは全く関係無いから。なのでそう言う方は冒頭5分だけ観て頂ければ、そのままシャットダウンしてもらっても構わない。

要するに失業率と貧困と暴動の発生の関連性みたいな、日本で言えば西成がなんであんな燃えたかみたいな話だが、こっちはそこに移民問題と、若さを持て余し未来が見えない熱き血潮が参入してくるからよりタチが悪いし、治安が猛烈に悪い。実際この作品から20年後のフランスでは、同じ様に街が燃えている訳だから、ある意味未来を予見したいたとも言える。

暇を持て余し過ぎた悪ガキがやる事と言ったら喧嘩と盗みとナンパとハッパくらいしか無く、ひょんな事から始まるギャング同士のいざこざは、やがて大規模な銃撃戦を伴う抗争へと発展していく。全てが悪い方悪い方へと向かい、あらゆる怒りは最終的にFUCK THE POLICEにぶつけられる火炎瓶へと変わる。まぁ人も車もよく燃える、終盤の暴動シーンは一見の価値ありだし、ストⅡのボーナスステージかよってくらい車がフルボッコにされるとこは見ていて気持ちいい。どんな国でも起こり得る事だし、社会から疎外されたのだと思い込んでしまう人々の怒りや虚しさを忠実に描いた作品でもあると思う。言う程カルトはしてないし、結構真面目な作品とシテ受け取ってしまったが、にしてもルドワイヤンのアレは一体なんなのだ…。かなり大掛かりなPVでありイメージビデオの類いではある。

フランスのHIPHOPはムチムチの無知なので本当ごめん…でもめちゃくちゃカッコ良かった、まんまとシテやられた(もういい)。
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