bluetokyo

おらおらでひとりいぐものbluetokyoのレビュー・感想・評価

おらおらでひとりいぐも(2020年製作の映画)
3.6
2024年3月10日 21:00~ J:COM 
イマジナリーフレンドものというか、脳内妄想ものというか、よく映画化したなあと感心してしまう。冒頭からして、間違って録画したかなと思うほど、意表を突いたシーンだが、奇をてらったわけではないみたい。最後の方を見ると、なるほどと納得する。主人公は、独居老人の桃子。ロケ地が、西武線狭山ヶ丘駅近くらしいので、そういう郊外の住宅地に住んでいるという設定なのだろうか。

とりたてて筋はなく、一人の老婆の日常を淡々と描写していく。こう見ると、同様の映像作品のように、かなり侘しい印象なのだが、この映画は、そんなことはないわけである。イマジナリーフレンド三人組が、しばしば現れて、この三人組が、けっこう騒がしいからだ。もう一人、どうせ~、が口癖のどうせおじさんも現れるがこちらは騒がしくない。

イマジナリーフレンドというのは、子どもによく現れるもので、子どもを扱った作品に登場したりする。登場しないまでも、ひょっとして、この子は、実は、主人公のイマジナリーフレンドなのかも、と思わせたりする場合もある。老人は子ども帰りするので、イマジナリーフレンドは珍しくはないのかもしれない。

桃子さんの一日は、医者に行って、図書館に行くことだ。クルマで行っている。クルマがないと不便なのかな。図書館でなにを借りるのかというと、地球の歴史の本だ。冒頭が、地球の歴史の科学ものみたいになっているのはこのためだ。
なんで地球の歴史なのか説明はないがなくてもいいと思う。
ノートを作っているけど、誰かに見せるためでもないが、楽しそう。

合間に、死別した夫、周蔵との馴れ初めなどの思い出シーン。愛か自由か、そうか、そういう見方もあるのか。周蔵が亡くなったから、個人的には自由になって、個人研究として、地球の歴史を調べ始めたのか。でも、結局、実は、寂しさを紛らわすためなんだよな。

だから、雪の日なんか、空想の巨大マンモスが、桃子さんの後ろに付いて歩いていたりする。
独居老人は、一人だけど、一人じゃない。

駐車場付き一軒家か。二階は子ども部屋だったのかな。息子は、静岡らしい。もう単身赴任じゃないだろう。家族を持っているのだろう。娘は、近くに住んでいるらしい。おカネを借りに来る。

なにを思い立ったのか、弁当と水筒を持ってピクニック。家の近くだけど、丘陵地帯。狭山ヶ丘駅の近くにそんな場所あったかな。狭山丘陵なのかな。
周蔵の墓は、空想だと思う。墓は普通、墓地にあるものだ。山の中にあるわけはない。季節は秋なので彼岸のように思えるけど、あの感じだと、10月か11月だ。

こうして、独居老人の一日は終わる。外見には、孤独だが、内面には、イマジナリーフレンドや巨大なマンモス、そして、懐かしい思い出が溢れていて、とても豊かなのだ。
bluetokyo

bluetokyo