がんびーの

SHELL and JOINTのがんびーののレビュー・感想・評価

SHELL and JOINT(2019年製作の映画)
4.0
「進化」とか「宇宙」とかそういった規模で自分の存在を考えた時に、自分の命って凄く小さなものに感じる。死んでも別に大したことないだろうなって。でもそれは自分を待ち受けてる「死」への保険であって、目の前の現実から目を背けてる証拠でもある。
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バクテリアに脳味噌を侵されてる坂本と、接触動物マニアの新渡戸、二人がカプセルホテルの受付で繰り広げる賢いのか馬鹿なのかようわからん会話が一番面白かった。彼らはこの世に存在してない設定で、カプセルホテルって名の天国から人間の形をした虫たちの死生を見守ってるのではないだろうか。
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かなりシニカルでラディカルな作品。邦画あんま見たことない身からすると滅茶苦茶衝撃的な作品だった。全編固定カメラでの撮影はかなり実験的なのではと予想したけど、実際見てみるとそこまで違和感はなく、むしろ何かの目線を感じさせる面白い構図となっていた。そこにもシニカルな視点を感じた。
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世にも奇妙な話テイストの寓話たちはどれも面白い話ばかり。それぞれの話に繋がりを見出そうとしたのだが上手く表現できない。そう考えるとかなり難解な物語だったのか。どれも虫に比喩した話な気がするが全部が全部そういったわけでもない。研究者の話だったり女とディルドの話はどう繋がるんだろうか。
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長かったけど短かった。
良い監督を見つけた。
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幼なじみである新渡戸 ( 堀部圭亮 ) と坂本 ( 筒井真理子 ) は、都内のカプセルホテルのフロントで働く従業員。 新渡戸は節足動物と哲学が好きで、坂本は自殺ばかりしている。
カプセルホテルにはいろんな客がやって来る。子どもを亡くしたフィンランド人の母親。逃亡犯の女。ミジンコを研究する学生…。しかし、それぞれの人生が交差する事は決してない。まるで整然と並べられたカプセルホテルの様に。淡々と流れる時のなかで。
節足動物をモチーフとして、生と死と性をテーマにした、さまざまな人生の断片が展開されていく。
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ぜひぜひぜひ
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