Shelby

エイブのキッチンストーリーのShelbyのレビュー・感想・評価

3.7
あらすじ
ブルックリンで暮らす12歳の少年は、イスラエル人の母とパレスチナ人の父を持ち、文化や宗教の違いから事あるごとに対立する家族に囲まれて育つ。そんな彼の心のよりどころは、料理を作ること。そんな自分の悩みや興味を心の内に抱えていた彼は、ある日、フュージョン料理を提供するブラジル人シェフと出会う。

勿論、キッチンストーリーというくらいなので、調理するシーンや、色とりどりの野菜や香草、食材が出てくるため、見ているだけで食欲そそる。
チコから味の地図を学ぶシーン。
画面の色遣いからとても楽しく、エイブのワクワク感が見ている我々にも伝わってくる。
塩味、酸味、苦味、甘味、そして旨味を学ぶエイブ。旨味はそのままUMAMIと呼んでいて驚いた。本当にそのままなのか。

しかし思っていた以上に宗教間の軋轢に苦しむ小さな少年シェフが描かれていた作品だった。
日本という国でここまで分かりやすく宗教間でのいざこざの問題が表面化することはないので何となくピンと来なかった部分も多いが、幼いエイブからしてみると板挟みの毎日。イスラム教とユダヤ教がなんとなく違うのは知っているが、共に禁止されている事も異なるため具体内容を描いてくれていて初めて理解することが出来た。

ふたつの家族が一緒になり互いを理解し合い、尊重し合おうとするも宗教観の違いでここまで人を隔ててしまうものだとは想像もしていなかった。

エイブが料理から学んだこと。
料理への向き合い方は、
家族への向き合い方そのものに繋がっていた。

真摯に向き合い、問題から逃げ出さないからこそ
料理も家族もうまく纏まるのだ。

家族をまとめる為に用いられた、様々な国や地域の食文化の要素を組み合わせたフュージョン料理。

1度でいいからご相伴に預かりたいものです…
Shelby

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