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パーム・スプリングスのukのレビュー・感想・評価

パーム・スプリングス(2020年製作の映画)
4.0
この映画は監督自身の「コミットメント恐怖症」から着想を得たものらしい。初めて耳にしたワード。調べてみたら《自分》のことじゃん...ってなった。詳しくはググってください。簡単に言えば人と深く関わることを恐れることらしい。自分も親が転勤族だったこともあり転校、引っ越しは日常茶飯事だった。結果、友達を作ってもすぐ別れてしまう。辛い思いもした。だったら深く関わらない方が良い。と子どもながらに感じて過ごしていたのかもしれない。結果、セルフチェックするとこの恐怖症に当てはまるものばかりだった。個人的な話はさておき、映画の話。

謎の洞窟に入ってしまい同じ1日を延々繰り返すタイムループに陥ってしまったナイルズとそのタイムループに巻き込まれてしまうサラの物語。ナイルズはすでに何度もタイムループしており、タイムループの生活に慣れていたが、慣れていないサラは困惑。タイムループから抜け出すことはできるのか?90分しかない作品なのであらすじ書くとほぼネタバレするのであらすじはこんなもんにしておきます。

この映画は良い意味で絶妙に分かりやすいようで分かりにくい映画になっている。なので見た後、「どう思った?(この映画から何を受け取った?」という話をしたら十人十色の感想が返ってきそう。でも、それも映画の醍醐味。
このタイムループの肝は、延々と同じ日を繰り返すが記憶は消えないところにある。説明がややこしくなるが同じ1日でも昨日行った行為によって心が満たされる場合もあるが、傷ついて目覚める場合もある。何度もループすることで、どんな行為をすると心が満たされ、どんな行為をすると罪悪感などが生まれてしまうのか。これを経験値として蓄積していく。そして、ナイルズは明らかにコミットメント恐怖症な人間だが、本当に生きる上で大切なものを見つけていく。そんな物語。なので個人的には共感できる部分もあり楽しめた。
タイムループから脱出できたかどうかの演出もお洒落。今後の作品にも期待したい監督の映画でした。
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