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40歳の解釈: ラダの場合のyassoonのレビュー・感想・評価

40歳の解釈: ラダの場合(2020年製作の映画)
4.0
理解も愛情も尊敬もない人達から薄められ荒らされかさ増しされる文化の現状と、そこに身を置き葛藤する脚本家を描いた素晴らしい作品だった。白人が『フェンス』の他民族版の権利やハリエット・ダブマンの舞台でビジネスすること自体は止められない。しかし、アイフルの女将さんの言葉を借りれば「そこに、愛はあるんか?」ということだと思う。分かりやすいから、ウケるから、儲かるから、でお涙頂戴のステレオタイプな貧困話を盛り込む(あるいは改変する)例が目につくこと、そうでもしないとマイノリティーの話は世の中に届かないことに、ラダのラップのリリックは強烈なアンチテーゼを示している。

観賞後に調べたらお兄さん役の人はラダ・ブランクの本当のお兄さんだそうで驚いた。父母のバックグラウンドもほぼストーリー通り。ある意味自分の半生記のような作品?

ラストがとにかく気分爽快。最後まで寄り添ってくれるアーチーの存在で物語に厚みが増した。

ヒップホップ好きとしては劇中の音楽が素晴らしいと思った。ヒップホップを聴いてきた者は首を振らざるを得ないビートがそこかしこに。Dの作るビートもなかなか。聴かされた中で一番良いビートでラダがラップしてくれたのもポイント高い。もちろんラダのラップもタイト。(0-14)
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