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事故物件 恐い間取りのswansongのレビュー・感想・評価

事故物件 恐い間取り(2020年製作の映画)
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3年前、 「残穢 住んではいけない部屋」のレビューに記した私個人の「恐怖体験」について、 加筆修正のうえ、再び投稿いたします。
お時間のあるときにおつきあい頂ければ幸いです…







「ホントに"ここ"でいいのかい?」

東京23区内、最寄り駅まで徒歩15分。
そこから新宿までは20分足らず。
(おまけに当時の仕事場まで電車で一駅。)

でも家賃は、なぜか相場の3分の1程度 …

ウソみたいな好条件に飛びついた私は、物件の下見もそこそこに、二つ返事で不動産店のご老人との契約を済ませたのです。

にぎやかな商店街から少し離れた下町の住宅街の一角にひっそりと佇むアパート「○○荘」は、 どう見ても築数十年。

いまどき「サザエさん」にも出てこないような、昭和の歴史を感じさせる木造建築です。


いっぽう、狭い路地を挟んで向かい側に建っているのは、こちらもかなり古い一軒家。
住む人がいなくなってから、かなりの年月が経っているようです。

主なきキッチンに放置された黄色っぽいタオルと食器用洗剤の容器のシルエットが、磨りガラス越しにぼんやりと透けて見えます …


さて、問題のアパートに話を戻しましょう。


「○○荘」の文字がくすんでしまっている表札。

傷みの激しい戸を開けると、"饐えたにおい"が微かに漂う玄関があり、その奥には2階へ通じる薄暗い階段が続いています。

ぎしぎしときしむ階段を上がった2階には、六畳一間の居住スペースが板張りの廊下を挟んで4部屋ずつ、合計8部屋ありますが、私以外の住人は隣室の蕎麦屋のお兄ちゃん一人だけ。

誰も使っていない「2階の奥の方」は、昼間でもほぼ真っ暗。

夜になると、ここが都心までわずか30分の立地とは信じられないほどの静けさに包まれます…



入居してから数ヶ月が何ごともなく過ぎた真夏のある夜、午前2時を過ぎた頃 …

人の良い蕎麦屋のお兄ちゃんは明朝の仕事に備えて早寝しているらしく、あたりからは物音ひとつ聞こえてきません。

そんな静寂のなか、夜型人間の私は駅前の書店で購入したハードカバーを読み耽っておりました。



"ぎ … し …"


???


"ぎしぃ……ぎしぃ……ぎしぃ…"


誰やろ?こんな夜中に階段を上ってくるのは。


"ぎしぃ……ぎしぃ…… ぎ。"

おいおい、よりによって俺の部屋の前で止まるなよ…


"コン……コン…コンコン"

弱々しいノックの音が …



ホラー映画でこういう状況に直面した登場人物は、よせばいいのにわざわざ 「ドアの向こう側」を調べにいっちゃいますよね?

彼ら彼女らがなぜそんな大胆な行動に出るのか、このとき私は身をもって理解しました。

「ホンモノ」に遭遇したとき、人は自分の意志とは裏腹に、「それ」に"惹き寄せられてしまう"のですね …


" …コン …コンコン …コンコンコン "

いつのまにか私の手は、部屋の引き戸を開けようとしています。
(怖いのに!怖くてしょうがないのに!)


ガラガラガラ… (やめろやめろやめろ!)

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ! !!!



戸を開けた瞬間、数十センチという至近距離から私を見上げる 「それ 」と眼が合いました。


…人間の…老婆のような"形"をした「それ」は、私の目の前に静かに佇んでいます …

そして、「それ」の"口"らしき部分が、ゆっくりと動き始めました。
( もはや私は眼をそらすことも耳をふさぐこともできません… )


"ぅぅおおおぉああぁぎいぃぃぃるうぅぅぅぅ…"

(可能な限り正確な再現を試みています)













































「…… は?」

(応じてはいけないとわかっているのに!)


"ぉおおふああぁぁぎいい…るうううぅぅ…?"



「… えっ?」


「だからさ、 おはぎ要る?って聞いてんのよォ。 」

「あ、これはこれは下に住んではる大家さん!
は~い、喜んでいただきまぁす♪」


あの時のおはぎ、 とっても美味しかったですよ。
ありがとう、大家さんのおばあちゃん!

でもね、80歳のご婦人が丑三つ時に突然訪ねてきたら、そらびっくりしますよホンマにぃ♪

ぉおおはあぁぎいいぃ … いる?(笑)


「爆安荘 赤羽事件」 完。



(*≧σ≦)) ミナサマゴメンナサイ…

私の駄話に最後までおつきあいくださいまして、ありがとうございましたっ♪
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