最初のストップモーションでDVDの不良を疑ったのは俺だけじゃないはず。ストップモーションはその後も頻出するが、鼻血出るまで殴る、走って抱き合う、飛び込んで抱きつくの三回には何故か爆笑した。
「この音楽は何?」のセリフとだれもそれを聞いていないという場面が三回出てくる。スタートから3カット目まで、ずっとオペラの練習声が聞こえてくる。聞こえてない音楽が聞こえてくること。最後の弦楽隊の前を通り過ぎる長回しがグッとくる感じは、この映画を「compose(作曲)」したゴダールのソニマージュがいよいよ全開になった証か。より重要なのは弦楽隊の後に映る遠くの赤い壁な気がするんだけど、どうだろう。自転車、鉄道、バイク、F1が一堂に介すシーン、遠くの森へ離れていくロングショット、駅のホームを走ってくる場面と、ナタリーパイの自転車がめっちゃいい味出してる。
「ムッシューゴダール」に対する距離感故か、60年代の男根感が薄れて個人的にはとても観やすい。おっぱいを踏むから口紅塗るまでいく四人連鎖はベケットっぽさを感じる。