ShinMakita

83歳のやさしいスパイのShinMakitaのレビュー・感想・評価

83歳のやさしいスパイ(2020年製作の映画)
1.6

チリ、サンティアゴ。A&A探偵社の探偵ロムロが「80-90歳の男性求む。電子機器が使用出来ることが条件」という募集広告を新聞に出した。応募者の中から選ばれたのは、83歳のセルヒオ。妻と死別したばかりの柔和なお爺さんだ。そんな彼に課せられた「任務」とは…郊外の特養ホーム「聖フランシスコ介護施設」に入所し、入所中のソニアという婆さんを監視すること。最近ソニアに怪我や盗難が多く、娘が職員による虐待を疑っているというのだ。セルヒオはカメラ付ペンやカメラ付メガネ、スマホを駆使し、その虐待現場を押さえてロムロに報告しなくてはならない。早速ホームに入ったセルヒオだが、配慮が行き届いたサービスや職員の優しい人柄を見て、とても虐待が起きている印象は受けず戸惑うのであった。しかも知的で礼儀正しい物腰から、彼は瞬く間にホームのアイドルと化してしまい、なかなかターゲットのソニアに近づけない。果たしてセルヒオのスパイ活動は成功するのだろうか?


「83歳のやさしいスパイ」

以下、83歳のやさしいネタバレ。

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「なんかこれヤラセくさいなぁ…」という思いが拭えないドキュメンタリー。虐待の証拠を見つけ出す、というのを最初からゴールに設定してない気がするんだよね。セルヒオさんを「スパイにするテイ」で、シンプルに老人ホーム体験をさせてみようというのが意図かなと。虐待の疑いも、ソニアの娘が依頼主ってのも、全部嘘なんじゃない?ガッツリとホームにカメラが入ってセルヒオに密着してるんだもん。ホーム全面協力の撮影ですよ。虐待が明らかになるわけがないよね。見つかったペンダントに対するロムロの説明も、なんか嘘くさいしなー。

ま、しかしそんな疑念はさておき、老人ホーム事情を老人目線で切り込んでいくってのは興味深かったな。色んな個性がある婆さんたちが出てくるんだけど、みんな孤独なんだよね。スパイ活動そっちのけで、仲間の孤独に寄り添おうとするセルヒオの優しさにジンワリくれば、オールオッケーですな。
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