ぽち

83歳のやさしいスパイのぽちのレビュー・感想・評価

83歳のやさしいスパイ(2020年製作の映画)
2.0
「ドキュメンタリー」と言っていいのか、かなり疑問は残るが、エンタメとしては楽しめる心に沁みる作品。

老人問題や生き方など、テーマとしても良いところをついてきていて、描き方も「ドラマ」と割り切れば、その静かな進行が良い味を出している。

さて、個人的にはどうしても納得のいかなかった「ドキュメンタリー」という所だが、一応
「舞台となった老人ホームの許可を得て、スパイとは明かさずに3カ月撮影された」
ということだし、出演者は全員素人。

でも、どう見ても演技をしている所や、カメラワーク、セリフなど「自然」ではない所が多く、かなり脚色しているのではと疑ってしまう。

特に探偵のロムロとのシークエンスは映像や進行を考えてもほとんど「作られたもの」に見える。

多くのおばあちゃん達はセルヒオの行動や言葉に自然に反応していると見ることもできるが、そのセルヒオの行動は監督の指示があってではないのだろうか。

作品自体はそこを除けば良いものなので、いっそフィクションとして出したほうが納得いく物になった気がする。

そこら辺の「疑惑」が気にならない人は観て損のない良いドラマと言えるだろう。



余談。
調べた限りだと、
一般公募で「スパイ」たる主人公を募集。
老人ホームにはそのことを伝えずに、ドキュメンタリーとしての撮影許可をもらう。
出演者全員一般人。

この条件で、作中の絵が撮れるのかちょっと考えれば分かるのだが、結果として「作られたストーリー」であることは明白。

絶対演技指導もしているだろう。

今作をフィクションとして「リメイク」した方が、良いものが出来そうな気がする。

個人的なポリシーで低得点とさせていただく。
ぽち

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