ノラネコの呑んで観るシネマ

サンドラの小さな家のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

サンドラの小さな家(2020年製作の映画)
4.3
DV夫のもとから、二人の娘と共に脱出した主人公が、終の住処を得るべく奮闘する。
夫は娘たちの親権取る気満々。
不便なホテル暮らしを強いられ、公営住宅は数百人の順番待ち。
親切な知人の好意で、土地を使えることになった主人公は、自分で家をDIYすることを決意する。
かつて愛した夫は、今ではモンスターに変わってしまい、主人公は「ハウス」だけでなく、心の拠り所としての「ホーム」まで失ってしまう。
そんな彼女にとって、自ら家を作ることは人生の再生の儀式。
悪意が壊した「ホーム」を、今度は主人公と善意の人々が共感力で作り上げてゆく。
原題は「herself」。
クレア・ダンの脚本を自ら演じているので、ある意味この映画もDIY。
印象的なのは、夫が父親のDVを見て育ったというくだりで、負の連鎖を止めることが出来なかった母親の表情が切ない。
「いい話」なだけでは終わらない、ほろ苦い後味の佳作。