人の心は獣よりも異形なのか。
観終わってずっしりと自分の心の闇と向き合うことになる。
帰り道の足取りの重かったこと重かったこと。
と言いつつ、足よりも心が重くなる映画です。
心がグワっとえぐられた感じ。
ギレルモ監督の重厚感あるノアールサスペンススリラー。
異界異形の世界観を描かせたら独壇場の監督の作品。
アカデミー賞でも作品賞、美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞の4部門でノミネートされています。
とても芸術性や時代性が高い豪華絢爛な映画です。
「ナイトメア・アリー 悪夢小路」という原作を持つこの作品。
まさに主人公は「悪夢の小路」を突き進んでいくことになる。
嘘と真実。自尊と虚栄。栄光と没落。欲と無欲。
人の心はままならないことを嫌というほど教えてくれます。
主人公を演じるブラッドリー・クーパーの演技が素晴らしい。
孤独や悲しみも胡散臭さも真摯な紳士も艶っぽく演じられる。
そこに絡む3人の女優キャストも素敵すぎる。
ルーニー・マーラ(可憐だが薄幸な佇まいがたまらない)
ケイト・ブランシェット(まさにクールビューティの存在感よ)
トニ・コレット(いきなり誘っちゃうお風呂deタロット占い師)
人の心を操る前に自分の心を悪魔に売らないよう操らないとね。
人として道を誤らないように。
人として破滅することは、「獣人」に我が身を売り飛ばすことなのかもしれない。
ラストシーンの余韻が脳裏から離れません。
「悪夢の小路」を彷徨い、元に戻ってきたのか。
それこそが悪夢。
もはや笑うしかない。