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ナイトメア・アリーのせっのレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
4.1
人か?獣か?

サーカス一団で読心術を学んだ男がショービジネス界で成功し、精神科医の女と組んで政財界の偉い人を手玉に取っていく話。

デルトロらしくモンスター的な獣人間、胎児のホルマリン(?)漬けなど要素はあるもののモンスターというモンスターはいない。その代わり、憎らしいほどにイケメンなブラッドリー・クーパーと出てきた瞬間に画面全体を支配するケイト・ブランシェットの美しさが本作のモンスターだった。

スタンの読心術って習った技によるものでもあるけど、人を魅了する華やかなその見た目が付加されてこそだろうに、世界を掌握できたと勘違いし、より強いモンスターに食われる。2人とも素顔なのに充分モンスターに見えるのが面白かった。

そしてスタンと結婚するモリーが途中から真っ赤な服を身につけてるのが『シェイプ・オブ・ウォーター』のイライザっぽくて、"モンスター"を愛したのは同じだなと。

思えばスタンは"父殺し"を果たした時点で既に「悪夢小路」へと誘われている。自分にとっての最大の壁である親を殺した時に、すでに世界を掌握してしまっていたんだろうな。家族内の狭い世界を掌握しただけじゃ、自分の嘘による影響力を考えられない。スタンの想像の範疇を超える老人達の奇行がちょっと滑稽だった。
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