EDDIE

ナイトメア・アリーのEDDIEのレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
4.4
野心を抱き成功を収める陰には常に不穏がつきまとう。一人の男の栄光と転落。大切なことを見失うと最悪な事態を招くの典型。緻密に練られた構成に魅せられラストの“輪廻”を想起させる展開には唸る。C・ブランシェットには女優賞をあげたい!

〈ポイント〉
・役者の演技とデルトロの醸し出す独特の世界観に没頭
・150分を感じない物語への没入具合
・ルーニー・マーラの儚さとスタンを愛する献身性、そして彼女自身の選択など全編通して素晴らしい演技だった
・しかし何よりもケイト・ブランシェットの存在感!ラストの展開までこの人いてこそ作品の魅力が高まったと言って過言ではない
・とにかく一つひとつを丁寧に紡ぐ脚本に唸らせられる
・ラストの展開にはニヤけすら

〈雑感〉
実は約2週間ぶりの劇場鑑賞でした。
本作のほか、『ベルファスト』、『アンビュランス』も観れていないので我慢を強いられた期間でしたが、久しぶりの劇場鑑賞作品が大満足な内容でした。

実はギレルモ・デル・トロ監督の作品はこれまでそんなにハマっていません。
観たことある作品は『シェイプ・オブ・ウォーター』『パシフィック・リム』『ヘルボーイ』『ブレイド2』『ミミック』ぐらい。
本作鑑賞前に『パンズ・ラビリンス』ぐらい観とくんだったなという後悔もありつつ、本作の世界観に完全に魅了れてしまいました。

まぁ見世物小屋のような興行師ってのはえてしてペテン師ってのが常套ではありますが、本作のブラッドリー・クーパー演じるスタンは貪欲な男で野心の塊。
最初は身なりも貧相だったものの、ウィレム・デフォー演じるコートリーに認められ、サーカス集団の一員に。
そこでの成り上がり方も独特で、常に野望を持ち成功してやるという強い精神を感じさせます。
あらすじにもある通り、彼はそこで読心術を身に付けるわけですが、ある意味禁断と言われた方法に手を出してしまい、成功を収めた後は金や成功という甘い蜜に目が眩んでいくわけです。

どのように転落していくのかってのは勿論映画本編を観ていただければというところですが、中盤から登場するケイト・ブランシェット演じるリッター博士がとんでもない策士。
スタンとの出会いから彼女は全てを見透かしていたのか…いやはや、ブランシェットの説得力ある佇まいあってこそですよ。
個人的に何か女優賞に値するものを与えられるならば、私はブランシェットに捧げたいぐらい魅了されてしまいました。

とにかく最初から最後まで食い入るように観てしまい、150分という長尺も感じませんでした。最高の映画体験。
個人的にデルトロ監督作品ではNo. 1です。

〈キャスト〉
スタン(ブラッドリー・クーパー)
リリス・リッター博士(ケイト・ブランシェット)
ジーナ(トニ・コレット)
コートリー(ウィレム・デフォー)
グリンドル(リチャード・ジェンキンス)
モリー(ルーニー・マーラ)
ブルーノ(ロン・パールマン)
フェリシア(メアリー・スティーンバージェン)
ピート(デビッド・ストラザーン)

※2022年新作映画53本目
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