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ナイトメア・アリーのogoのレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
3.8
日常と、そのすぐ傍にある一歩踏み外した先の闇と。

デルトロ監督風味満載。

安易な説明をするなら、一片の光も無い『グレイテスト・ショーマン』とでも言えば良いのだろうか。

第二次大戦下を舞台に、少しずつ選ぶべき道(alley)の選択を誤り、悪夢と闇へ歩を進めてしまう男の末路。

役者も揃い、雰囲気も流石だが、いまいち盛り上がりに欠ける出来ではある。終幕がある程度予想出来るが故に、奈落への道を淡々と観せられているような。

ただ、そうした少しの物足りなさはありつつ、ラストの帰結が非常にメタ視点が効いていて、デルトロ監督らしく、素晴らしく最高に居心地が悪い(褒めてる)

獣人やカーニバルといった「日常の向こう側」の世界を、外から眺める「観客」という立場で言えば、この映画自体を安全な一線を引いて眺めている我々もまた、同じではないか。

目の前に現れる分かれ道を前に、どちらの道へ進むのか、その先でどんな選択をするのか。はたまた、踵を返すのか。

闇は、いつも僕らのすぐ傍に佇んでいる。
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