かりんとう

ナイトメア・アリーのかりんとうのレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
3.2
巨匠デル・トロのさんが、非科学的事象以外の題材を扱った稀有な作品。
今作が駄作だとは思わないが。彼の真骨頂はやはりダークファンタジーにあると思った。
スティーブン・キングに通ずるあの独特のおどろおどろしさとワクワク感の同居。
子供の頃ビビり散らかしならが「あなたの知らない世界」を指の間から観ていたあの感覚に近い。

なにかの記事で読んだが、本作の主演は当初レオナルド・ディカプリオにオファーしていたという。
結果的にブラッドリー・クーパーで良かったのだと思う。
なんたってあのラストシーンよ。
あれをワンテイクでOK出しちゃうなんて、まさに正気の沙汰じゃない。もちろんいい意味で。

大金は人を狂わせる。奇しくも大谷翔平の専属通訳である水原氏の巨額賭博事件が明るみになったタイムリーなタイミング。
結局のところ、人間の執着心からなる狂気に勝るホラーはない。

執着心といえば、結局のところスタンは金以上に「生」への執着を捨てられなかったのだろうか。
それとも、自分の犯してきたことへの贖罪の意味であの末路を甘んじて受け入れたのだろうか…

今作を観る前に、1932年に制作された映画「フリークス」を観ておくとイメージが入って来やすい。決してお勧めはできないけど。