KeiRalph

無頼のKeiRalphのレビュー・感想・評価

無頼(2020年製作の映画)
4.4
私の人生に大きく影響している監督のひとりなので、皆さんのレビューよりは多少の判官贔屓も働いてる事は否めませんが、このご時世、ここまでに極道礼賛な作品を貫き通すのも余程の覚悟が無いと手掛けられない訳で、集大成と謳われても致し方ないくらい、コンプライアンス度外視である事を私は評価したいです。

東海テレビ制作のドキュメンタリー「ヤクザと憲法」を観ても分かる通り、反社というレッテルにより、ヤクザの人権までもが失われている事を「仕方ない」とのひと言で片付けて良いのか、私は未だによく分かりません。ただ、社会に背を向けてでも正義ではなく無頼を生きる事を選ぶ人も居る事だけは理解したい。

本作は完全なる「仁義なき戦い」オマージュであり、実在する人物の半生を描いていたりなど、オリジナリティとしての評価には乏しく、また約2時間半の長尺映画で冗長との向きもあるかとは思いますが、それぞれの時代の変遷と、主人公の井藤正治の渡世を辿る物語に飽きる事はありませんでした。

任侠映画にありがちな大量の群像劇ではありますが、井筒映画必須のキャスト陣もキッチリ登場。緊張感溢れるシーンも多いですが、トラ対ライオン、更には熊まで使ったいつもながらの突然の砕け演出も怠りなし!

私が観た回では井筒監督も舞台挨拶がありましたが、「ポスターには集大成とか書いてるけど、まだまだ撮り続けるから!」との所信表明もあり!そうだ、終わってもらっちゃ困る!
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