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テスラ エジソンが恐れた天才のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

2.5
[ニコラ・テスラ、寒すぎて惨めな伝記] 50点

似たような題材の映画が同じような時期に作られることは往々にしてあることであり、そのほとんどはドキュメンタリーとフィクションと相場は決まってるのだが、今回はエジソンとテスラ周りの争いについての作品がフィクションで二つも登場した。本作品の評価が微妙なのも、単体としての完成度に加えて『エジソンズ・ゲーム』を見たせいで食傷気味になって、それが足を引っ張っているのもあると思われる。

テスラと比べたエジソンの有名具合、或いはウェスティングハウスの有名具合の指標が"ググったときに出てくる画像の数"であり、それをアン・モルガンがパソコンで示してくれる。そこまでしてくれるなら内容云々はもはやどうでもよく、伝記自体をググれば良いのだ。しかし、伝記映画に付きまとうこれらの戯言に自ら言及した割には、ただ地雷を踏み抜いて死んでしまったのを疑うほど画面にも物語にも魅せる力がない。

アン・モルガンの言う通りエジソンに比べるとテスラの知名度は低い。だからこそ、そこらの伝記映画とは違う手法で目立とうとするのは理解できる。しかし、様々の色の光を照らしてみたり、再現が面倒くさそうな背景を絵にしてみたり、前述の如くGoogleやスライドといった現代機器を登場させたり、果にはカラオケで歌ってみたりといった小手先の技術でしょうもないイキり方をしても、歴史ものが"最初に"持っているカビ臭さは拭えない。終盤のタワー内での実験シーンなんか背景がガイ・マディン『Twilight of the Ice Nymphs』の冒頭そっくりなのだが、そういう剽窃ばかりで使いこなせていないのも癪に障る。

全体的にサムすぎて惨めな気分になる映画だが、それがテスラの惨めさと共鳴しているのであれば企画としては成功しているのかもしれない。とはいえ、サムいのには変わりない。
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