とうがらし

ファーザーのとうがらしのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
3.8
非常にサスペンスフルに富んだ作品。
なんの予備知識もなしに観た方がいい。
観客は、自分の認識が間違っているのか混乱するところが多々あると思う。
何が現実か分からなくなる。
それは認知症を観客に疑似体験させるための仕掛け。

いやすごい、アンソニー・ホプキンスの演技ももちろんすごいのだが、娘役のオリヴィア・コールマンの演技がすごかった。
まるで本当に介護に疲れた娘の顔そのもの。
リアルすぎて感嘆した。
ロケーションが限られ、ストーリー性は、いまいちないものの、認知症を患った時に起こる混乱模様を見える化して、サスペンス作品に仕上げた脚本はお見事。
フローリアン・ゼレール監督はこれが初監督作品とはあっぱれ。
新人監督が、大ベテランのアンソニー・ホプキンスからこれほどまでの演技を引き出せるのは並大抵のことではない。



米アカデミー賞作品賞ノミネートは、これにて全作品鑑賞。
各作品の個人的評価は以下の通り。
ファーザー(3.8点)
ミナリ(3.7点)
サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ(3.6点)
ノマドランド(3.6点)
プロミシング・ヤング・ウーマン(3.3点)
Mank マンク(3.1点)
Judas and the Black Messiah(3.0点)
シカゴ7裁判(2.4点)

今年のノミネート作品を総評すると、昨年の「パラサイト 半地下の家族」ほどには圧倒的な存在感を放つものはなく、小粒揃いという印象。
世間的にはやはり「ノマドランド」か?「ミナリ」か?
私のイチ押しは本作の「ファーザー」に決まった。
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