嵯峨

ファーザーの嵯峨のネタバレレビュー・内容・結末

ファーザー(2020年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

家族の絆とか感動系かと思ったら恐ろしく怖いもうホラーのレベルにまで達して、しかも最後の絶望感とか半端ない映画でした。

「サウンド・オブ・メタル」でも感じたけど、映画を通して「体験する」ってすごくいいなと思うんだけど体験のさせ方がすごく怖かった。「ビューティフル・マインド」とか思い出したけど、バーンと一回真実を知らされても衝撃を受けるというのが何回も続くのに「え!!これも!!」ってなる。というかどれが本当のことなのかがわからない、え、え、え、っていう怖さ。時系列にしろ、場所にしろ、登場人物にしろ、何が何やらわからない、まさに認知症患者の混乱が体験できるし、これは本当にしんどいなと思った。

「自分の連続性」なるものを論じてる本を読んだことあるけど、まさにそれが脅かされる病気なんだなと思った。「自分の連続性」を担保しているものが自分の記憶や他者だったりするわけで、昨日の自分が寝て起きたら同じ自分と思えるのもそれがあるから・・・なんだけどそれが失われていく怖さが描かれてた。そこには混乱があるし、恐怖がある。だからアンソニーは、連続的に動く腕時計に拘るし、孤独を恐れたのだろう。確かに季節とかそういった時間的な変化が描かれてない、何時だとかそういったものしか描かれてなく、誰がいつどういった関係になったのかとかが一切最後までわからない。もう怖いわ〜って思った。カレンダーの意義を痛感する映画でした。
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