ふてい

ファーザーのふていのネタバレレビュー・内容・結末

ファーザー(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

父親の混乱を直接見せつけられたようで怖かった。アンソニー・ホプキンス激ヤバ。記憶の混濁を意識し始めるときの哀れさが特に辛かった。

 父親は、自分の記憶がおかしくなっているなんて露ほども思わず、周りの人々が変なのだと信じて疑わない。その原因は、記憶の混濁に気付けずに正常に世界が進んでいるように思っているからであるが、それに加えて、プライドの高さと垣間見えるミソジニーがその勘違いに拍車をかけていると思う。
 父親は、娘や介護士の女性たちを小馬鹿にしたり強く当たるのに対して、自分よりも若くて力の強い男性にはしおらしさや怯えさえ見せている。そうした態度が、娘や介護士の発言を間違っているとする勘違いを正そうとしないのだ。
 このような性格は受け入れ難いもので嫌悪感しかない。しかし、それが社会に押し付けられた所謂「男らしさの呪い」によるものであると考えると、最後の幼児退行も含めて可哀想という思いが一番にきた。
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