ぐり

ファーザーのぐりのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
4.2
前代未聞の認知症体験型映画、凄すぎた……………
終始(?????)の連続。マトモなはずの娘やその旦那の言うことがどうもおかしい。どうも食い違う。ちゃんと話を聞いて、それをちゃんと覚えているはずなのに。というように、"認知症"の視点で日常を描いた作品。あのお父さんは認知症だけど、自分がボケているなんて思っていない(もちろん体験した私もそう思っていない)ので、周りの反応が見ていて心苦しくなりました。最初に娘が違う人に変わったとき、マジでお父さんと同じ反応「Who are you ?」でした。だって顔違うんだもん!誰お前状態。もはや周りがおかしいんじゃないかと思うほど自分は間違っていないはずなのに、なぜか周りをイライラさせてしまう。ほぼずっと家の中でほとんど背景が変わらなかったのでより困惑しました。認知症ってこんな感じなのかな…辛い。娘が父の首を絞めるシーン(それは娘の頭の中での行動であり実際はそんなことしていない)があったけど、正直私だったら殺りかねないかも……………と思うくらいしんどかったです。改善策?って訳でもないけど、例えば周りの人物の写真を撮ってその人の名前を書いてそれを壁に貼るとかしたらいいのでは?と思いました。お父さん役の方のリアルな演技も相まって凄く心にズシンとくる映画でした。

〇余談
数ヶ月前に亡くなった祖父が亡くなる1年ほど前に私の名前を忘れてしまったことを思い出しました。「(私のこと)誰だかわかっかい?」と祖母に聞かれ「わからん」と首を横に振った祖父。その日家に帰る車の中で泣きました。いつかそうなることはわかっていたはずなのに、大好きなじいちゃんが自分から私の名前を呼ぶ日はもう来ないんだって、ショックで、ボロボロ泣きました。でも、仕方ないことですよね。その日から、「○○だよ!」と自分の名前を自分から言うようにしました。大変だけど、もし自分や家族が認知症になったら、受け入れていくしかないんだ、そう強く思った出来事でした。
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