さちゃこ

ファーザーのさちゃこのネタバレレビュー・内容・結末

ファーザー(2020年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

今まさに現代が抱えてる問題。
みていて悲しくて不安で逃げ出したくて孤独で、でもみてよかったと心から思える作品に出逢った。

アンソニーホプキンスのお父様がかつて認知症だったから、父をそのまま演じたとのこと。

みている側が認知症の擬似体験が出来る。
時系列がおかしい、言ってたことが違う、知ってる顔と違う、家の家具がなんか違う、みんなの自分を見る表情がおかしい、自分を疑い始める、寂しい、そんな感覚になるのに映像は不思議にあたたかく感じて、それは多分不安の中でも娘からの愛は感じていて、自分も他人もわからなくなるどうしようもなく感じる悲しさなのに、
でも絶望だけで終わることはなかった。

途中、アンソニーが、『いろいろありがとう』て言ってくれた場面が泣けた。
きっとその一言に、介護側の人間はどれだけ救われるんだろう、と。

人はみんな老いて、赤ちゃんに戻っていく。
この世に生まれた瞬間から、何年も親に世話をしてもらったんだから、
いつかもし親が認知症になっても、同じことを仕返してあげないとなぁと思った。
さちゃこ

さちゃこ