きい

ファーザーのきいのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
4.0
あんま長くない映画観たいなーと思って観始めたのにものすごく長い時間が流れているような感覚になった映画。
なんかアカデミー賞いっぱいとっとったよなー、感動系なんやろうなーなんて思いながら観始めると、ホラーやサスペンスのような演出に驚いた。
この映画を観て強く感じたのは恐怖、不安、救いのないことに対する悲しみ。

この映画を観る前は認知症というようなワードを聞いて不安になるのはいつか自分の親が認知症になったときにどうするか、ということだったけれど、この映画を観て初めて自分が認知症になったらどうしようという不安を感じた。
自分がまだ若いからという理由で、今まで自分が認知症になるかもしれないということは不思議と今まで考えたことがなかった。

認知症によって苦しむのは周りの身近な人や介護する人だけだと思っていたが、認知症になった当人も戸惑い、不安を抱えて苦しんでいるということを知った。
アンソニーの記憶違いを指摘されるたびに「ああ、そうだったな。」と言いながら浮かべる不安そうな表情がとても切なかった。
誰も幸せになれない救いのなさがあまりにも残酷で辛かった。
ラストは本当にただただ悲しくて泣いてしまった。
きい

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