冒頭から、感情の揺さぶりと作品へ引き込む速度がすごい。序章とかフリとかそんなのはありません。もう…いきなりです。
強烈なパンチを食らった感じ。
認知症という病気の恐ろしさが細部まで伝わってきて、息苦しい。老いるのはしょうがないけど、認知症は辛いな。怖いな。
アンソニー・ホプキンスの圧巻の演技に釘付けでした。お茶目で、意地悪で、健気で、憎たらしい。それも全部、認知症という病気がそうさせる。
現実と幻覚の狭間を行ったり来たり。
幻覚はもはや彼にとって現実だ。
認知症は、もうひとつの人格を作るのだ。入れ替わり立ち替わり…秒刻み、分刻みで感情がコロコロ変わる。理性的になったかと思えば、疑い深くなったり、心をえぐる言葉を投げつけたりする。
自身の戸惑い。
家族の戸惑い。
アンソニーが聴いていたオペラ
彼の心の叫びのようだった。
歳をとって、もしそうなったら、時の流れに身を任せよう。相方には、今のうちから、“ホームに入れてね”と言っておこうかな。
このジャケットの女性…ずっとマギー・ギレンホールやと思ってたら、オリヴィア・コールマンでした。