アロー

フランクおじさんのアローのネタバレレビュー・内容・結末

フランクおじさん(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

1973年。大好きな叔父フランクが教鞭をとる大学に通うベスは、ひょんなことからフランクが同性愛者であることを知る。そして同じ頃、彼らのもとにフランクの父の訃報が届き、2人は車で帰郷することに。するとこの旅にフランクの恋人ウォーリーも同行しようとするが、親族にカミングアウトすることを恐れるフランクは彼を置いて出発してしまう。ところが納得できないウォーリーがこっそり後をついてきて…。

 フランクおじさんが超かっこいい。他の家族とは一線を引いて1人で読書をしている姿がすてきで、ベスが大好きになっちゃうのがよくわかった。こんな親戚がいたら通い詰めちゃいそう。

 こんな素敵なキャラクターだからこそ、ゲイへの差別的なシーンがつらかった。これは『グリーンブック』を観たときと感覚が似てるかも。
 フランクが最悪のアウティングをされるシーンは息をのんだし、フランクとウォーリーの「家族にカミングアウトするか否か」の考え方の違いですれ違ってしまうのもかわいそうだった。
 ウォーリーが「祖国でカミングアウトすると死刑になる」って言ってたのが衝撃的。告白するだけで命を奪われるなんて残酷すぎる……と思ったけど、LGBTQが知られている国でも精神的に生きづらくなったらそれはそれで残酷だと思った。親の言葉が呪いとなっているフランクが、まさにその被害者なんだと思う。

 終盤で、フランクが勇気を出して家に戻ると兄弟がすんなり受け入れたシーンが胸に残った。私は勝手に「あの人も差別主義なんだろうな」と思っていたけど、そう考えていることも差別なのかもと気づかされた。
アロー

アロー