南森まち

キネマの神様の南森まちのレビュー・感想・評価

キネマの神様(2021年製作の映画)
3.3
酒と賭博に目がないゴウと、映画館主のテラシン。二人はもう老人と言っていい年齢だが、彼らの友情は映画に明け暮れた日々に育まれた…というお話。
原作は原田マハ。ベタな展開で落ち着くべき所に落ち着く、山田洋次監督らしい映画。だが、そのイメージを逆手に取って、劇中で邦画の問題提起をしているのは面白かった。
旧き良き日本映画を偲ぶ作品…ってのは供給過多気味だと思うんだけど、これもその一種。正直、主にいまの邦画を支えているのは日本映画黄金時代を知らない層なので、今後はこの映画の内容も理解しづらい部分も増えていくんじゃないかしら。

だがコロナ禍も含めた最近の風習を小道具として使っているのはなかなか興味深かった。
これももうすぐ「こんな時代があったね」といつか言われる日が来るわ(by中島みゆき)ですね。

ただ、主人公とヒロインの歩んできた数十年がほとんど語られないのが非常に残念。最後に付け足すように、娘が語るけれどあれぐらいでは不満かなぁ…
他にも娘婿等も、設定を出しておきながら出演無しなのが消化不良気味に感じました。尺の都合なのかもしれないですが。