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Giving Voice(原題)のkissenger800のレビュー・感想・評価

Giving Voice(原題)(2020年製作の映画)
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待って言い訳させて(ショートコント、デンゼル・ワシントンばかり見てないで勉強しなさいとお母さんに怒られたばかりの息子)。

ネトフリのサイト内検索で「デンゼル・ワシントン」で引っかかったタイトルだったからマイリストに登録してたんだよ。
だけど「ちょっとデンゼルじゃないやつを見たいんですが」「これ何だっけ」って作品詳細をクリックしたつもりがスタートボタンを押したことになってたの!
まさかこれがオーガスト・ウィルソン-そう、デンゼルが映画化権を10本まとめて買った戯曲の原作者-の話、もう少し正確にいうと彼の戯曲を高校生がひとりで演じるモノローグ・コンテストのドキュメンタリー。だとは思ってなかったんだ。見終わったらあやうく『フェンス』(2016)なり『マ・レイニーのブラックボトム』(2020)なりを見直したくなるから、そんな危険な話って事前に知ってたら再生してねえよ。あの2本、見たひとには説明不要だけど、どれだけ重い話か。え、言い訳が面白くないからダメってなんだよ!

デンゼルとヴィオラ・デイヴィスが参加する高校生たちに向けたコメントをきっちり語っていますが、ほかにもローレンス・フィッシュバーンとかサミュエル・L・ジャクソンとかアンジェラ・バセットとか、オーガスト・ウィルソン原作の舞台に出演したことで人生が変わったアフリカ系アメリカ人俳優は枚挙にいとまがない。そのあたりの前提知識が無ければコンテストの意義も不明、ってハードルはあります。

ただ、日本全国の高校球児が甲子園を目指す要領でUSの演劇高校生がNYブロードウェイに集まって来るんですけど、シカゴ代表だろうとヒューストン代表だろうとLA代表だろうと、ここがニューヨーク! っておのぼりさん顔になってるところ、要は聖地巡礼する顔。なことは見りゃ分かるんですよね。

演劇によって自分を抑圧していた要素が社会にあったことに気付き、そこから解放される自由を味わい、他人が書いたセリフと似た心の動きが自分の中にあることに驚き、表現するダイナミズムに人生を捧げてもいい価値を見出す。
そういう若者たちがたくさん出てくる意味では「けいおん!」だったり「銀の匙」だったり、いわゆる青春系王道物語に共通の何かは感じることができる。と思う。まあね、地味だけどね。

ネトフリJPが付けた邦題「Giving Voice:内なる声が語ること」は、そういう意味で良いと思いました。
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