影定

ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-の影定のネタバレレビュー・内容・結末

2.9

このレビューはネタバレを含みます

原作読了済

患者からの依頼を受け、違法である安楽死を行うドクター・デスとそれを追う刑事である犬養と高千穂のストーリー。
原作ではドクター・デスは患者の苦痛を取り除く為の安楽死という確固としたポリシーを持っており、余命が短く苦痛に苦しむ患者からの依頼しか受けない。映画になると尺の都合もあるのか、苦痛の無い死が美しいと快楽殺人なのか患者の苦痛を取り除きたいのかキャラがブレており、犬養の娘も強引に安楽死させようとしてくる。その上、原作にあった安楽死を行うようになった背景も描かれていない。

一方、刑事の犬養はドクター・デスに対しては一貫として殺人を行う犯罪者という態度を取っており、原作にあったように人道と法の間で悩む姿勢がないためストーリーに深みがなく、ただの脳筋と言った印象を持った。(ドクター・デスを口汚く罵ったり、「もし娘が安楽死を望んだら…」という問いに対して激高するシーンが内面のブレを表していたのかもしれないが、分からない)
原作と変えるなら、ただ安楽死は法律上殺人だからというだけでなく安楽死否定派の意見を展開し、「だからヤツを止めなくちゃいけない…」としたらもっと共感できたかも。
高千穂の「(患者の家族はドクター・デスに感謝してるし)被害者はどこにいるんでしょう?」とか「自分の家族が安楽死を望んだら自分はどうするか分からない」といったセリフに原作の名残が見える。
影定

影定