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監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影のIKのレビュー・感想・評価

4.2
ドラマパートの主人公、「ブックスマート」のジャレッド君じゃないか。

Twitter、instagram、facebook、Google等大手テック企業の元創業者や従業員達の口から、いかにSNSが負の力を手に入れ、それが今も世界にどんな悪影響を与え続けているのかが語られるが、それらに思い当たる節が多すぎて怖かった。SNSのメリットである「自分の興味に関連した情報が次々集まってくる」システムの裏側暴露から始まり、収益化優先+ルール・規制なしの無秩序による提供情報の偏りが個人の考え、引いては一国の政治や社会まで脅かしているという事が、コロナ禍を含めたここ数年の出来事の数々と共に語られ、ウンザリする程説得力がある。
また、登場人物の大半は基本スマホやSNSが生活を飛躍的に便利にしたと言っているものの、それが個人のメンタルや社会に与えている悪影響に警鐘を鳴らしているスタンスがジレンマそのままなので、個人的には日本版タイトルより原題「The Social Dilemma」の方がしっくりくる気がした。
あと劇中で触れられていた「SNSや検索サイトでは、情報の正誤・内容の善悪ではなくクリック数や注目数が優先」ってスタンス、本当に勘弁してほしい。これのせいで煽り特化の不快な広告やニュースが増え続けてるし、最近Googleで何か検索してもアフィリエイト目当てで内容ゼロのクソ記事ばかりヒットして迷惑なんだよ。

そうした裏側を見ると、自分の意志「だけ」でSNSをシャットアウトするのは本当に難しい、というか無理な気がしてならない。正直自分の意志なんてちょっとした事で揺らぐし、相手は自分の検索・閲覧履歴など個人データを大量に持っていて、それを踏まえて適切な広告や通知を適切なタイミングでぶち込んでくるスペシャリストなので、あまりにも勝ち目がなさすぎる。一応本編中ではすぐに出来そうな初歩的な対策も紹介されており、そこは親切に感じた。
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