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監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影のAbeCinemaTVのレビュー・感想・評価

4.3
Netflixのドキュメンタリーはやっぱり質が高い。よくできてるわ。様々な有識者がデジタル化が進んだ社会の弊害を語っていく。実際にGoogleや大手SNSなどに勤めていた人々が話していくので、説得力がある。話しちゃっていいの?殺されない?と心配にはなるが。中には自分で作ったアルゴリズムを批判している人もいて、苦笑い。もう完全に作り手たちの意図、能力を超えたサービスに成長してしまったことが窺える。

例えば、予測機能とかオススメ機能とかって、「あ!これいいかも!ちょうど見たかったんだ!」と自分の行動とマッチしているように見えて、ネットに行動を決められているようにも考えられるという。恐ろしい。SFじゃん。

このドキュメンタリーの凄いところは、いかにもデジタル社会の弊害だなあというところから始まって、現代社会全体の問題点につなげ、ありとあらゆる問題の原因に帰結させているところ。我々が思った以上にはるかに根深い問題であることがわかる。思った以上に今見るべき作品。コロナやBLMなどにもつながってくる。

光と影、と副題でなっている通り、語り手たちが必ずしも一辺倒にIT化社会を完全否定しているわけではないというスタンスを何とか崩さないようにしているのが偉い。でもあまりにも根深いため、もはや少し天を仰いでいるようにも見える。

これはネットを使うすべての人々が見たほうがいいドキュメンタリー映画でした。
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