カムイ

チィファの手紙のカムイのレビュー・感想・評価

チィファの手紙(2018年製作の映画)
3.8
冒頭のシーンからしてもう岩井俊二全開の映像美で一気に引き込まれる。
葬式、土足、学校に食堂。似てるのにちょっとずつ違う、近くて遠いお隣の国の文化はまるでファンタジー作品を観ているような不思議な違和感を覚える。

葬式を終えた姉の元に届いていた、30年ぶりの同窓会への招待状。姉の死を伝えるつもりで会場に向かった妹は同窓生達に姉本人と間違われ、訂正することもできずに逃げるように会場から飛び出す。それを追いかけて来たのは姉の元恋人であり妹の初恋相手でもあった初恋の彼だった。妹は思わず彼に手紙を書く。姉の名前で。一方的に、文通とも言えない文通が始まる。そして彼の元に届く、もう一通の彼女からの手紙――。

行き違い、嘘、ちょっとした好奇心、そして執着。登場人物達の複雑な感情が織りなすトリッキーなストーリーラインが少しずつ紐解けて美しく切ない真実を浮かび上がらせていく。
人間って単純明快じゃない、けどそこが愛おしいよね。
遺された者達の幸せを願ってしまう映画でした。
カムイ

カムイ