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泣きたい私は猫をかぶるのarchのレビュー・感想・評価

泣きたい私は猫をかぶる(2020年製作の映画)
4.0
柔らかな映像に善良で真面目な人物達、比較的マシな悪党しか出てこない中学生サイズのファンタジームービー。子供っぽいとも思うし、恥ずかしい所もあるが、でも良い。
その理由として一つに行動の動機が違和感なく、また素敵な人情の物語に収束しているからだと思う。
また思いつくのはアニメとして非常に出来がいい。特に人や猫の動きが凄く気持ちよく動くのだ。アニメでしか感じられない快楽ってこういったところにあると思うのだ。

文句が言いたい所もある。例えば猫になりたくて猫になった人間が、結局人間の真似事をしている所。社会から解き放たれて、自由を謳歌出来るところ=猫と考える俺には結局、社会性、社交性が求められ、店という場所で作る側や食べる側に別れてしまえば、対価が必要でそれって結局人間的過ぎないかと思うのだ。だから一見猫のユートピアに見えるあちらの世界は全然、人間世界と変わらない。人間に奉仕され、自由に生きられる人間世界の路地裏こそが猫のユートピアだと思うのだ。
まぁ画的には素敵で「千と千尋の神隠し」や「ホビット1」の地下住居的に感じた。

総評としては十分に楽しめた快活で気持ちのいい作品だった。だがな、中学の恋愛なんて持って2.3だぞ。
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