ばろん

RUN/ランのばろんのレビュー・感想・評価

RUN/ラン(2020年製作の映画)
4.0
ありふれたモチーフを新しい角度で描いたホラー映画。

度を超えた愛情は時として狂気に変わる。とはよく聞く文言だが、この映画はそれとも少し違う。なぜなら母と娘は血の繋がった家族ではないからだ。生後わずかにしてこの世を去ってしまった我が子の喪失感を埋めるように、他人の子供を奪い愛情を育てた。外の世界を知らせないために子供の行動を厳しく制限した。子供の身体を毒で麻痺させ歩行を奪い、皮膚から筋肉、内臓まで、娘の全てを不全にした。そして娘の不全を埋めるように愛情で満たした。誰がどう見ても狂っている。実の母親ではない上に、彼女の心身を蝕み人生を破滅させた。

当然クロエにはこの家から逃げ出してほしいと願う。母親に見つからないうちに脱出を図るクロエを応援したくなる。クロエの逃走劇と母親の逆襲、そしてクロエの報復。最後まで目が離せない。
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