“ある過去から生まれた最凶マザー”
『search』のアニーシュ・チャガンティ監督によるサイコ・スリラー。幼い頃から車椅子生活をするクロエは、自身に投与される薬が人用では無いことから、徐々に母への不信感を募らせていく。主演のキーラ・アレンは実生活でも車椅子移動を主としており、本作のクロエというキャラクターの行動とリンクしている部分もあり、よりリアリティーがあるものに。
ただ、やはり本作はサラ・ポールソン演じる母ダイアンの狂気が全編滲み渡る。娘への愛のためなら手段を選ばず、最初は体の不自由な娘を思いやり大学への進学を許す優しい母であるのに、緑のカプセルと繋がらないインターネットから徐々にその本性を表していく。優しい母からヤバい母へと変貌していく様が恐ろしく、夜中にググろうとする娘を遠くから見つめる母の得体の知れなさは完全にホラーの領域だった。
正直オチが冒頭の子どもの手術シーンから読めてしまい、終盤のどんでん返しに対して驚きは全く無かった。また、あのオチを思うと、やはり映画館を飛び出し警察に行かなかったことや、何度も主治医が変更されていることに周囲は不信感を抱かなかったこと、そもそも娘を普通に外出させてリスクしかないのではと、行動の一つ一つに疑問点が生じてしまう。『search』のようなサプライズ感や斬新さを求めると痛い目を見ると思う。
なお、本作は実話を基にしているため、鑑賞前に調べるとオチが思いっ切り書いてあるので鑑賞後に確認して欲しい。これが現実に起こったのだと思うとよりたちの悪さを覚える。
