あやちまる

精神0のあやちまるのレビュー・感想・評価

精神0(2020年製作の映画)
5.0
1番最初の患者さんが切実な瞳で先生の話を聞いているのを見て胸が痛かった、、、

"先生の言うことを四六時中思い返してるんですけど"
って、、、先生にギリギリ心を支えてもらって生きてるんですね。
前作の精神では3名の方が公開時には亡くなられていたのを思い出し、山本先生が抱えてきた命の数を思うと圧倒されました。
医師の精神力ってすごい。
科学的に救えなかったと言い訳ができない精神科の医師って患者の自殺についてどう向き合っているんだろう。

"いま生きてることがすごいことなんよ"

タイトル画面までが濃すぎました。

◾️"障害者手帳はあなた自身に偏見がないなら申請したらいい"っていう話は印象に残っていたので覚えていました。
"精神"に出ていた方が、また出てきたのには感動です。

ただ患者にどれだけ懇願されたとしても、山本先生の人生を考えると無情に線引きしていかないといけないですよね。
確実に生きているうちに引退しないとという考えもあったんだろうな、、、急死なんかだと患者への精神的負担も大きく、影響範囲が、、、。
先生も断腸の思いで引退を決断したのかな、、、。

◾️先生、お金あげてる、、、
前作でもお金あげてましたよね、、、
そもそも利益出てるのかと思うような診療所なのに、、、

◾️ベルトコンベアのように患者を処理する今の精神科の課題について言及している患者さんの話も重要ですね。
診療は数分で処方箋を書いて終わり、カウンセリングは自費診療で高い、、、
宗教ってこういう金にならないところに入ってきて人々を支えてくれませんかね、、、

◾️"奥様とご自身の健康と我儘に注力してください。先生できないだろうから努力して"
って涙が出る言葉ですね。

◾️先生の話し方って何を話しても受け入れてくれそうな安心感がありますね。

無感情な印象はないのに、全く感情を表に出さないところがすごい。
ずっと話し続けてしまいそうな患者も先生が何か言ったら止まって何処かへ行くところ凄いなと思いました。

私が相手したら多分、一生、話は平行線でこちらがイライラし始め、患者側が私のイライラに影響を受けてイライラして、それでも話が互いに通じないから怒り、それを取り押さえようとしたら暴れ出してっていう地獄の未来しか見えない。

先生はもしかして一回本人に成り変わって、言って欲しいセリフを言ってるんじゃないかと。もはや山本先生は未来からきたのか魔法使いなんじゃないかと。

◾️ご夫婦がアクエリとおやつを用意して"いただきましょう"ってしてるところにほっこり。
奥様も自分のまんじゅう剥いてるのかと思ったら想田監督のためだったんですね。
嬉しそうにおもてなしされてて、このご夫婦は自分より人のことをなによりも先に考えるんですね。
心が洗われるようなシーンでした。

◾️山本先生がお汁作ってるときに"どしたの〜?"って様子見にくる奥様が可愛い
振り返って"どうぞっ"って言う奥様も可愛い
下に置いてって言ってるのにテーブルに置いてしまってお汁置く場所無くしてしまう奥様も可愛い
山本先生が何をするにも横でなんかずっと喋ってる奥様も可愛い
それが何言ってるのかわからないんだけど可愛い
てか奥様がずっと可愛い

お二人の人柄の良さのせいか、ずっと観てられます。
というよりずっと観てたい。

◾️俺映画に映っちゃう!って学生たち可愛い。
今回は癒しのシーンが多くて心がそんなに重くならないです。

奥様がチャキチャキ動いている姿を見ると切なかったです。
犬が鳴いてるって言って見に行ったら犬がいなかったときに"ん??"って思ったんですけど、認知症になってしまったんですね、、、。

芳子さんのことをみんな頭がいい方で〜って。
ご友人の方の話を聞くと、芳子さんは周りの方から凄く愛されてるのが伝わりました。
2人が芳子さんの手に重ねるシーンとっても暖かいです。

◾️"認知症になってから海外に連れてってあげてたじゃない。でも僕はバカだよね、だって忘れちゃうじゃない"
"僕の手を持って"
"転んじゃいけないから、僕が先に行くから"

まさかこのドキュメンタリーがラブストーリーになるとは思っていませんでした。

◾️山本先生が患者を救っている裏で奥様は子供を育てて、診療所を手伝って活躍されていたことを観ることができてよかったです。

◾️ここまで人生を捧げて他人に尽くす人がいるのかという今まで味わったことがない衝撃でした。
山本先生に圧倒されました。
後半は夫婦の愛が描かれててなんか泣きそうになりました。
精神も精神0も義務教育に入れて欲しいくらいもっと早く観ておけばよかったと思う作品でした。
あやちまる

あやちまる