このレビューはネタバレを含みます
お話は悪くはないが、主人公には、ボクシングジムの会長ではないが苛々させられる。それはルーザーの物語として成功なんだろう、とも思う。
しかし、この映画に既視感を感じるのは、漫画の「がんばれ元気」があるからかもしれない。あの小山ゆうの名作もルーザーたちと天才たちの物語だから。この映画で唯一天才的なのは北村匠海演じるボクサーだが、その影の在り方もまた、「がんばれ元気」的ではある。
前編における、クライマックスのエキシビションマッチは頂けない。たかだかエキシビジョンであそこまでダメージ喰らっている選手(しかも芸人)がいるのに試合を止めないのは絶対にあり得ない。とするなら、八百長っぽい事を仕掛けたプロデューサーから予め生半可な具合では止めないと言われる場面があっても良かった。
それは別として、そのボコボコにされたルーザーががんばる姿もまた、かの名作を思い出してしまうのだ。(後編に続く)