くろさわ

アンダードッグ 前編のくろさわのレビュー・感想・評価

アンダードッグ 前編(2020年製作の映画)
4.5
東京国際映画祭に参加して、オープニング作品のアンダードックを見ました。

アンダードックとはボクシング界ではスター街道に駆け上がる選手の踏み台となる咬ませ犬を意味する言葉。

元日本ランク1位で未だ輝きを求める末永晃(森山未来)、過去に少し闇を抱えながらもプロを目指す大村龍太(北村匠海)、芸人の企画でプロボクサーを目指すことになった宮本瞬(勝地涼)
それぞれが崖っぷちに立たせながらも輝きを求め這い上がろうとする物語。

ただのボクシング映画ではなかった。
ボクシングを通した人間ドラマでここまで負け犬(アンダードック)を表したドラマはないと思う。ドキュメンタリーのような映画。

前編では主に末永と宮本に軸が置かれるが、末永のくさりきった雰囲気、特に嬢を送った後の盗み聞ききながらの場面の顔は怖すぎる。人は腐る行為をする時、こんな顔になってしまうのかと。
そして、最後の試合のシーンがむっちゃよい。ネタバレ防ぐために詳しくは書かないが、この試合を感動せずには見てられない。

周りから咬ませ犬と思われていても、負けると期待されていなくても、自分だけは諦めず、死ぬ気で戦う気持ちや折れない根性があれば何か変えるキッカケになるかもしれない。懸命に戦う姿は勝者であれ、敗北者であれカッコ良いことには変わらないとあらためて学べる映画。