木曳野皐

佐々木、イン、マイマインの木曳野皐のレビュー・感想・評価

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)
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普段、映画なんか観ない友達が誘ってきた。私がこれ観ようって言って観に行った。私の名前は「イシイ」、友達の名前は「ユウジ」、観に行った人なら分かると思う、マジでどんな偶然なの?しかも監督さん、新潟出身なんだって、しかも地元の近く。
この衝撃に勝るもんはねぇな、と思ってたけどこの衝撃に簡単に勝った人物がいる。
それが「ササキ」である。
エンディングロールの“special Thanks”には「佐々木」の名前があった、アイツの下の名前、知りたかったなぁ。

自分で言うのもなんだけど、どちらかっていうと佐々木寄りの人間だと思う。
あんな底抜けた明るさは無いけれど、家族の愛には飢えている。
自分の未来を想像して反吐が出そうになる。死にたい。私にとって佐々木はそんな代弁者だった。
佐々木が父親を追いかけるシーン、「今度いつ帰ってくるの?」って泣きたいのに堪えながら問う佐々木のシーンには目を見張るモノがあった。
悠二の家庭について言及はされなかったけれど、観た限りやはり同じような闇を抱えていたのだろう、言わなくても伝わる同じ闇は絶対にある。
私にも昔、佐々木みたいな友達がいた。
底抜けに明るくて卒業文集の将来の夢には“お笑い芸人”“発明家”と書くようなおちゃらけた奴だった。(全裸にはならなかったけど)
そんな奴がある日突然自殺した。
そっから私は、明るい奴が突然死んでしまいそうで怖い。
佐々木にもアイツに似た危うさがあって私は怖かった。だけどその危うさにも魅せられるモノがあって余計に怖い。
一度関わったら絶対に忘れさせてくれない。忘れられない、私はアイツを忘れられない。
アイツが言った「お前は諦めるな」って台詞も、「勝てないから諦めないんだ」って台詞も私の心にグサリと刺さった。
アイツが言うとこんなにも胸に刺さってしまうのか。

“ナンパ”のシーンも良かった。佐々木可愛い。


泣いたシーンが2回程あって、1つ目は「お前は諦めるなよ」、2つ目は中島みゆきの「化粧」。エンドロールでも泣いちゃった。
佐々木いい声してんよ、お前歌唄えよ。俺、お前の歌声好きだぜ。
てか、映画って映画が主人公だけどやっぱり歌も大事だよ。歌が映画を魅力的にすることってやっぱりあるんだよ。
映画を観たあとに見るこのポスターが激シブです。

“流れるな涙 心で止まれ”


【追記】
映画観てからずっとエンディングの意味を考えていた。
本当にずっと、何週間も。
多分現実の佐々木はあそこで死んで、だからこそ映画の中ではあの結末だったんだと思う。あれは監督が佐々木に望んだ空想の結末で、それを映画にして空想を現実にしたのではないかと(知らんけど)
なんかそれに気づいた時、映画を観た後よりも泣いちゃった。ほんと、流れるな涙 心で止まれ。
木曳野皐

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