Jeffrey

グッバイ、レーニン!のJeffreyのレビュー・感想・評価

グッバイ、レーニン!(2003年製作の映画)
3.8
‪ ‪ 「グッバイ、レーニン!」‬
‪冒頭、少年期の話。10年後、淀んだ空、ベンチにする青年。彼の物語が始まる。建国40周年、共産主義万歳、ベルリンの壁、デモ隊と警官の対立…本作は僕が学生時代に多分、初めてのドイツ映画鑑賞が本作で何て素晴らしい映画何だと感動した。物語は東西ドイツ統一にいたる過程の‬一家族の息子=主人公の青年を軸に母の記憶喪失、その期間に世界が変わった事を必死に母に隠す青年と周囲のユーモアある描写が面白く悲しく観客が一気にストーリーの虜になる。いや〜当時観た時はこんな奮闘する息子の一大芝居劇に笑った。心臓発作に倒れ奇跡的に回復したがショックを与えると命は無い‬と医師に忠告され、東独ピクルスを探しに、ニュースを自ら作りTVで母に見せ安心させる。統一したとバレない様に…こんな滑稽で映画的な作風、いやだが実際に有ってもおかしくない89年のベルリンの壁崩壊直前と後じゃ有り得る話だ。キャラも物語構造も良く壁崩壊後に資本主義の波に埋れるドイツ…それを‬象徴するバーガーキングの下り、テレビ修理店閉鎖によりアンテナ設置業に転職した息子、西側から来た青年と仲良くなり一緒に母を騙す。昏睡状態で看病したロシア人看護婦とは恋仲に…必死に東独の食料を探し回る滑稽で優しさに包まれた好青年を演じたD.ブリュールは本作で知り好きになった。ナイーブな‬顔立ちがカッコ良くファンになった。本作は兎に角製作側の優しさを感じる映画で最早隠しようがないコーラの企業垂幕や西側の車の参列を目にする母の唖然な表情、芝居の限界を見せ一家は車に乗りとある場所へ…そこで衝撃の真実が観客を待つ。歴史的経緯、背景、国家を無くした人々の思い、そんな深刻な‬問題を悲喜劇的に映したW.ベッカー監督に礼を言いたい程に心温まる。親殺しが当たり前の世の中、必死に母を大切に生かす青年…大抵の子供は親を気に掛けない…こんな暗い世の中に一粒の光を浴びさせたグッバイ、レーニンを是非10代の若い子達に観て欲しい。歴史経緯を知らなくても単純に分かる一本だか‬ら。ネタバレになるから上手く話せないがラスト、母が自らベルリンの町に足を運びそこでシンボリックだったレーニン像が〇〇される。それをただ見つめる母の姿には感動し、涙を流した。愛国主義の母の夢破れた非常に哀しく儚い出来事だった。母を演じたK.ザースの渾身の演技も慟哭誘う音楽も、名作だ。‬
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