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スティール・レインのIPPOのレビュー・感想・評価

スティール・レイン(2020年製作の映画)
4.0
期待せず流し見始めたけど自分好みで嬉しい一作だった。北朝鮮と韓国の南北ポリティカルクライムムービー、好きなやつだわ。

前作の続編では無く、チョン・ウソンとクァク・ドウォンを再起用(北朝鮮と韓国の立場を逆転させて)、設定も新たな意欲作。

監督はインタビューで「この作品の主人公は朝鮮半島そのものだ」と語る。なるほど。前作に通じる「北朝鮮と韓国は対立構造にあるけどさ、そもそも同じ民族でしょ!中国やアメリカとの複雑な政治的関係のせいで仲良く出来ないんすよね、実は!」というメッセージが多分に詰まった内容。
韓国、北朝鮮、アメリカの平和協定に中国、日本も(無理矢理)絡め、「朝鮮半島から見て勝てないけど、とってもウザい国々」への本音をエンタメにしている。やっぱりこの監督は政治性がかなり高い。

朝鮮半島外交の知識が無いと少ししんどいかもだが、わりとライトに楽しめる。何せチョンウソンの韓国大統領役が良い。
韓国人もアクが強いはずなのに、更なるクセ強の北朝鮮とアメリカ大統領に挟まれて仲裁役をやらざるを得ないほろ苦さ。小狡いはずの韓国人なのに、ウソン氏のおかげでとても爽やか。またいつか大統領役やって欲しいな。

クライマックスは潜水艦バトルアクションと化していてまた面白みが広がる。4番目の男として作品のキーマンとなるシン・ジョングン(北朝鮮の副潜水艦長)にもぜひご注目を。

余談ですが、「愛の不時着」のヒットにより北朝鮮の軍人を悪だけでなくピュアに描いてキャラ立ちさせる傾向が強まりそうだなぁと感じたり。北の若者の純粋さも物語を盛り上げる充分な要素だと思う。
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