ノラネコの呑んで観るシネマ

アーニャは、きっと来るのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

アーニャは、きっと来る(2020年製作の映画)
4.0
ナチス占領下の南仏で、ピレネー山脈を超えてスペインに逃れるユダヤ人を助けた羊飼いの少年の寓話。
村にはドイツ占領軍もいるんだが、主人公と仲良くなる下士官がいて、自分の任務について葛藤を深めていたり、なるべく双方を人間的に描こうとしている。
ファシストのフランコ政権はフランコ自身がユダヤ系って説もあるくらいだから、SSの調査に協力はしても送還などの具体的な迫害は避けていたらしい。
そのためピレネーは数少ない脱出ルートで、主人公はユダヤ人を助けた多くの庶民を象徴するキャラクター。
全体に少年少女に向けた作りで、モチーフの割に描写はマイルド。
前記したナチス兵の描写も含め、客観性にこだわったために観やすいが、ややキャラクター描写が画一的になった嫌いがある。
ちっぽけな人間の戦争など、無関係に存在するピレネーの自然が美しい。